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「鍾乳洞の女王」

先日の奥多摩・三頭山行きは「ミニ登山」だけあって、オマケの「こぼれ話」がついていました。
それは、奥多摩の玄関口であるJR武蔵五日市駅から遠くないところにある「大岳鍾乳洞」。
そして鍾乳洞前の売店・休憩所を独りで切り盛りされて「鍾乳洞の女王」と呼ばれている、おばあちゃま。
なんとお歳が95歳という田中ユキさんです!

この鍾乳洞は以前の職場の先輩が家族を連れて行った後「東京近郊にあんな所があるとは思わなかった」と話されたのが頭に残っていて、そのうちに行ってみたいと思っていた場所でした。

BL0617鍾乳洞1R1003149  BL0617鍾乳洞2R1003145  BL0617鍾乳洞3R1003137

バス停から歩くと20分ぐらいかかるそうですが、今回は愛車の「ジムコ」(スズキ・ジムニー)を駆って出かけましたので、入口のそばまで車で行けます。
入口近くはガタガタの狭い道ですが、林道でも車で行ける最奥の所まで入るジムコは、へいちゃらです。

鍾乳洞の入場料を支払う売店・休憩所は、小さな山小屋のような平屋の建物で、年代物のベンチなど調度といい、手書きの看板や張り紙といい、昭和の時代のような雰囲気(左)。
山道を運転している間にタイムスリップしたような錯覚にとらわれてしまいます。

建物のカウンターに近づくと、ポータブルプレイヤーから大音量で流れてきたのは氷川きよしの曲。
そして中からニコニコ顔で現れた小柄な着物姿のおばあちゃまが、ユキさんでした(中央)!

「95歳なのよ。でも耳も良く聞こえるわよ」
張りのある声で、はきはきと話されるユキさんは、耳どころか心身ともにお元気で、まさに「かくしゃく」とされています。
鍾乳洞を発見した夫と、妹が10年ほど前、わずか5日の間に続けて亡くなったこと、今は毎日家の人に送り迎えしてもらって1日中、「鍾乳洞守り」のお仕事をされていることなどを、立て続けに話されます。
「家に居ても、皆の邪魔になるだけだし、ここにいるのが一番なのよ」
そんなふうに話されるユキさんは、鍾乳洞を訪れる人と話をするのが楽しくて仕方がないといった様子。
それが生活の張りになってられるのでしょうが、1世紀近く生きてこられてもなお、ごく当たり前のようにして「お仕事」をされているユキさんの姿に、訪れる人たちの方が元気をもらっているのは間違いありません。

「洞内電灯完備」と掲示してありましたが、ユキさんに貸し出してもらったヘルメットの上から持っていた山用のヘッドランプを着けて鍾乳洞の入口へ。腰をかがめて通れるほどの入口の小ささを見て、尻込みしそうになりましたが、中に入っていきました。

BL0617鍾乳洞4R1003130  BL0617鍾乳洞5R1003127  BL0617鍾乳洞6R1003124

入口を見て心配した通り、鍾乳洞の中は穴の幅も高さも、かなりの狭さ(中央)。
小さな子どもなら、ひょいひょいと進めるのでしょうが、長身の私は、ほとんど中腰で歩いて、しょっちゅう背をかがめなければなりません。休まることができないという感じで、楽ちん登山よりも体力を使うほど。
お借りしたヘルメットは何度もゴツゴツと天井にぶつけ、これは落石対策の非常用ではなく、必需品なのだということが納得できました。
鍾乳洞を巡るコースは約300メートルもあり、それなりの試練です。
炭鉱労働者の気持ちが、少し分かるような気分になりました。

鍾乳洞の壁を覆っている沈殿物(「フローストーン(流華石)」と思われます)の割れ目に、幾つも押し込まれていたのは1円玉。
ずいぶん前から多くの人が押し込んでいたようで、1円玉が沈殿物に覆われて石と一体化してしまっている部分も少なくありませんでした。
東京都の天然記念物に指定されている鍾乳洞に、こんなイタズラをして良いものかとも思いますが、以前は洞内にたくさんあった鍾乳石などの多くが盗掘されたという話も聞きますので、イタズラによって、この部分が守られてきたと言えるのかもしれません。

鍾乳洞の部分部分には「パラダイス」「ユメノ天国」などの時代がかった名称が付けられています(右)。
それらを手書きした案内板が、裸電球の照明とあいまって、1961年に見つかった鍾乳洞の公開された70年代のような雰囲気を醸していました。

元気な「鍾乳洞の女王」さまに出会い、懐かしい雰囲気と自然の驚異に触れられる大岳鍾乳洞。
奥多摩方面を訪れる人たちには、一見の価値がある「穴場」です。

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