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“走るマラソンカメラマン”辰巳郁雄写真展 走った!撮った!世界のマラソン

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放射能の国から

未曾有の被災地・被災者をもたらした東日本大震災と、いまだに信じることができないほど深刻な原発事故により日本の非常事態が続いているなか、私は、しばし国を離れる機会を得ました。
韓国の古都・慶州(キョンジュ)で明後日に開かれる「慶州さくらマラソン」に以前から申し込んでいたことから前倒しで週末の休みをいただき、短い韓国行きを敢行することにしたのです。

私の写真展を応援してくださったスポーツジャーナリストの増田明美さんが日本からのツアーのゲストとして参加されるこの大会は、手軽に行ける海外マラソンとして日本のランナーの間で人気が高まってきています。
「屋根のない博物館」と呼ばれるほど多くの遺跡が残り、複数の寺院や遺跡地区が世界文化遺産に指定されている慶州の町を巡るマラソンは、日本でも見られないほど立派な桜並木を抜けて走ることでも知られ、増田さんからも参加を勧められていました。

また名古屋で駆けっこ仲間になった韓国観光公社の支社次長・金容載さんからも紹介してほしいと頼まれ、次なる「走った!撮った!」のマラソンにしようと決めていたというわけです。

もちろん非常事態に短期でも自国を遊びで離れるのは、非国民になるような思いがないわけでありません。
被災者の窮状が続き、会社の後輩たちの多くが被災地をはいつくばるようにして仕事していることを思うと、後ろ髪を引かれる感じもします。
しかしまた、私がここで自粛したとしても、彼らに代わることができないのも事実です。

「こんなときだからこそ、元気が出るような記事や写真が必要なんですよ」
出発する前に金容載さんから、そんなふうに言われて思ったのは、こんなときでも自分でできることの1つが「走った!撮った!」なのかもしれないということです。

あすで終了する東京・深川スポーツセンターでの私の写真展の「リバイバル展示」に続いて、日本橋でも展示を予定してくださっている「ギャラリー遊」の理恵さんからも「自分も、みんなも元気を出せるように、予定通りに展示しようと思うの」などと言っていただいたことも励みになりました。

ということで、夜に仕事が入る可能性がある明後日を含む2日間の移動日を挟んで中2日という自粛気味の韓国行きを本日から始め、マラソン会場に近い慶州郊外の普門湖(ポムンホ)のほとりに来ています。

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中部国際空港から、1日1往復の釜山行き大韓航空機に乗り込む際に、目に入ったのが、ドアの近くに並べられた韓国の新聞各紙。
そのいずれもが、福島第1原発の事故による放射能汚染の問題を、大きな写真入りで1面トップの記事などとして掲載しているのです。
なかには日本の気象庁が発表したとされる、韓国も巻き込む形になっている放射能拡散の予想地図を紹介して、「韓国の汚染は西日本と同程度に」と警鐘を鳴らす内容のものも。

「名古屋はまだ安心か」などと、比較的のんびりと構えている自分とは対照的な内容に驚くと同時に、今回の事故が福島ではなく韓国で起きていたら、自分たちも同じような反応をしたのだろうとも思います。
はるか太平洋の向こうのアメリカでさえ、放射能汚染の影響を憂慮しているわけですから、世界の重大事になっている今回の事故のなりゆきを最も心配しているのが、お隣の韓国であることは当然のことです。

大量の汚染水を海に「たれ流し」するという前代未聞の環境汚染を招いていながら、事態があまりにも深刻なためにかえって感覚がマヒしているような日本人と、海外の人との間では、事故をとらえる感じ方が明らかにズレてきているようなのです。

そんな感覚のズレを、さらに突きつけられたのは、釜山の金海(キメ)空港で入国審査を受ける前に通過することが義務付けられていた「放射能汚染監視機」(左)。
「まだ汚染されていないはずの名古屋から来た自分は関係ないはず。冗談じゃない」
初めはそんなふうに思いもしましたが、これは冗談でも笑い事でもありません。
「韓国原子力研究院」とも書かれた監視機をくぐるときは、アラームが鳴らないかと緊張してしまいました。

空港から慶州までは直通のバスもありますが、私はいったん釜山の街に出たあとに、夜遅くに韓国の新幹線「KTX」に乗って移動することにしました。

数年前、釜山経由で韓国の名山・智異山(チリサン)を独りで走って登りに行った際、立ち寄った釜山市内の飲食店の女性店長から、大震災の後に「日本のことが心配です。がんばってください!」というメールを送っていただいたことから、お礼のあいさつに行きたいと思ったのです。

店が開く前に立ち寄った焼き肉店では、2匹のネコが、ものほしそうにこちらを眺めていました(中央)。
そう、今回もまた、愛猫のチーコに留守番を頼んだことを思い出して、心が少し痛みました。

バスや普通の列車なら1時間半から2時間もかかる慶州ですが、KTXを使うとわずか30分足らず。
私は最終のKTXに飛び乗って、慶州に無事、到着することができました(右)。
外は雨。湿った空気は春らしく暖かいのですが、どうやら桜の花はまだ、ほとんど咲き始めていないようです。

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