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“走るマラソンカメラマン”辰巳郁雄写真展 走った!撮った!世界のマラソン

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登山地図・地形図

駆けっこ仲間のMさんが亡くなったトレラン練習中の遭難・滑落事故については、一昨日までの記事で、私が現地入りするなどして集めた情報や、それを基に行った検証の内容をほぼ書き尽くしたように思っています。
ただ振り返ってみると、登山やトレランの必需品である地図については、実際の図面を示したうえで説明していなかったことから、不親切な内容になっていたように思います。

そこで本日分の記事では、私が両方を携帯することを勧めている登山地図と地形図について事故現場近くのそれぞれの図面を示したうえで、追加の説明を多少しておくことにします。
ひとことで言えば、山の詳しい地形を読むためは地形図が必要であるものの、コースタイムやバスの路線を含む付帯的な情報は登山地図の方が詳しいことが普通で、山道=登山コースについても、より正確なことが多いということです。

とりあえず、両方の図面を掲載したうえで、説明は追って加えることにします。

そして、ここからが続きです。
いったん書くのを中断すると、なかなか書き始められないことがあるもので、ぐずぐずしている間に、ふと気がつけば、この書きかけの記事に対する拍手が増えていて、驚いています。
これはもう、せかされているようにも感じられて、観念したというわけです。

そういえば何日か前に、このブログの訪問者数が、昨年の10月にカウンターを設置して以来、2万アクセスを突破しました。ブログをスタートしてからの推計では3万5千アクセスを超えているものと思われます。
こんな個人的な趣味の世界のブログで、しかも写真のブログと銘打っていながら、やたら長文の記事を書きなぐっているにもかかわらず、こんなに多数の方々にお付き合いいただいて、本当にありがたく思っています。

では、写真を挟んで、本当に記事を続けます。

BL110804地図1R0015913  BL110804地図2R0015923  BL110824地図3R0015932

接写レンズで複写したのは、Mさんら一行が雲取山と飛龍山を越えて、下山中に道に迷ったという「高畑」の集落跡や滑落事故の現場となった丹波川の支流・後山川の谷、さらに高畑の手前約2キロほどと本来たどり着くべきだった国道の下山口・親川バス停などを含む一帯の登山地図と地形図です(左、中央)。

登山地図として代表的な「山と高原地図」の、一帯を含む図面の縮尺は1キロが2センチになる5万分の1、そして地形図は山間地のものとしては最も詳細な2万5千分の1で、1キロは4センチ(右)。
複写した写真2枚は、ほぼ同じ地域のものですが、元々の大きさは面積にして1対4の差があります。

等高線の間隔は登山地図では20メートルですが、地形図の方は10メートルで、より詳しい地形のヒダまで描かれていますが、山や橋の名前など地名は登山地図の方が詳しく記載されているのが分かります。
そして問題なのは登山道で、登山地図では赤線で描かれ、地形図では他の山道も含め点線で描かれているのですが、このルートが両方の地図では、かなり異なっているということです。

それでは、どちらが正しいのか。
結論から言えば、登山地図の方が実際のルートに、ほぼ沿って赤線が描かれているようです。
より細かい測量や調査が行われる地形図では、測量などの間隔が何年も開いてしまうため情報が古くなってしまい、崩壊したり人が通らなくなったりして「廃道」となった昔の道がそのまま描かれていることが多いのに対し、地形図を「下敷き」にしてつくる登山地図では、登山ルートだけを短い間隔で踏査しているというのが、その理由です。

そして地形図に描かれた昔の道と登山地図に描かれた実際の登山道との関係は、その両方を重ね合わせるようにして比べてみれば分かります。

昔の道は、写真では左上から右下に向かって「天平(でんでいろ)尾根」の上をたどって通る1本目と「後山」「高畑」の2つの集落跡を結び、等高線にほぼ沿う形で通る「巻き道」の2本目で、それらの2本は高畑の先で交差しています。
一方、今の登山道は1118メートルのピークの手前で尾根を左に外れ、後山のあたりで巻き道に合流。
その後、高畑の先で再び、尾根に平行になります。

正確に言えば、かつての巻き道は高畑のすぐ先で崩壊して通行ができなくなり(その旨を記した看板を見て、確認してます)しばらくは少し谷側を通るなどして付け替えられています。

しかし、登山地図の方が道が正確だからといっても、それだけでは、やはり不十分だと言えます。
後山と高畑という廃屋のある集落跡は約1キロの間隔で2カ所あり、地形図には家の並ぶ様子まで描かれているうえ(それぞれ2軒と3軒描かれている廃屋は、実際には1軒と3軒に減っていますが)、高畑で真っすぐ谷に突っ込んだMさんらがたどるべきだった右カーブも、見事に描かれているからです。

そもそも、高畑で道に迷うことは現場を見た人すべてが「あり得ない」と言う通り納得し難いものですが、この地形図を持っていれば、その「あり得なさ」は100%どころか200%にもなったはずなのです。

それに対し、登山地図の「廃屋」の文字は後山と高畑の間に、言ってみれば「乱暴」に書かれているだけで、いったいどこに廃屋があるのか分からないばかりか、一行が突っ込んでいった「急斜面」には「高畑」の文字が大きく書かれているために、ただでさえ粗い等高線が見えなくなっています。

というわけで最終的な結論は、やはり登山でもトレランでも、より安全に山道を歩いたり走ったりしたい方々に対しては、登山地図と地形図を併用することを私は強く勧めるということです。
私自身は山に入る際、基本的にそれら両方を持ち歩き、事前にヒマがあるときには、あらかじめ双方を照合したうえで、登山道の位置に食い違いがあれば、地形図に登山地図のルートを赤線で上書きをして、コースタイムなどの情報も書き写してしまいます。

もちろん高尾山のメーンコースのように幅が広く踏み固められた山道が整備され、道標も完備しているようなハイキングコースでは、登山地図だけで問題ない場合も確かにあります。
しかし初めて足を踏み入れる登山の領域で、しかも登山地図に丁寧に「迷(いやすい)」と書かれているような山に、登山地図やガイドブックの付録の地図だけを頼りに入るのは、あまりに危険です。

また何度も繰り返しますが、迷う前よりも迷ってしまった後にこそ、地形図は頼りになるものです。
微細な地形が読みとれることから、現在地や戻るべき方向を探しやすく、周囲に危険な場所がないかを知ることもできるからです。
それに比べ、色を塗って、ただでさえ粗っぽい等高線を見づらくしている登山地図では、地面の微妙な起伏をイメージすることは困難です。

そして振り返ってみるとMさんらの一行は、そうした登山地図の、さらに等高線を薄れて見づらくしてしまったコピーしか持っていませんでした。
それなら、なおさら道の踏み跡に注意してほしかったし道なき道に突っ込むような無茶は控えてほしかった。
そう思えて、本当に返す返す残念ですが、今さら私にはどうすることもできません。
山ヤ仲間たちにもトレラン仲間たちにも、2度と同じようなミスを繰り返してほしくないと願うばかりです。

※※※

実を言いますと、今回の記事で紹介した登山地図と地形図の問題は、私の会社の同僚であり、その筋では名だたるフリークライマーでもある学さんから指摘をいただいたものです。
指摘を受けて以降、その後に書いた、いずれかの記事の中で、この問題についての記述を加えようと思っていたものの機を逸し、結局こうして独立した記事にすることになりました。

確かに地図を示すことなく、遭難の詳細を文章だけで書いてきたのは、不親切だったとも思います。
学さんは、かつて札幌などで一緒に仕事をし、部屋の中にパイプを組んだ「オーバーハング」の壁をつくっていると聞いていた、まさに「クモ男」ですが、最近はトレランにも「脚を染めている」ということです。
どうりで、トレラン中に起きた今回の事故は他人ごとではなかったようですが、ご指摘に感謝します。

また、この間も、多くの方々から記事に対するコメントをいただいていますが、個別の返信は控えています。
もちろん、とてもありがたく読ませていただいています。この場で、お礼を申し上げます。
ありがとうございます。

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