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“走るマラソンカメラマン”辰巳郁雄写真展 走った!撮った!世界のマラソン

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花のエロス

本日は午前中に名古屋で仕事をしたあと、午後には東京に出張してまた仕事をこなし、夕方、一昨年に私の初めての写真展を開いてもらった銀座のリコーフォトギャラリー「RING CUBE」に、現在開催中の写真展を見に出かけました。

その写真展とは、一昨年の写真展に来場してくださって以来、懇意にしていただいている写真家の曽根陽一さんの個展「Naked Flower」-花の極私的エロス-。
私も愛用しているリコーの名機「GR DIGITAL」を使って、昼間にストロボをたく「日中シンクロ」という手法を駆使し、空などの背景を暗めにしながら花を幻想的に浮かび上がらせるという作品を集められたものです。

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RING CUBEは日本で一番地価が高い銀座4丁目交差点の角に建つ円筒形のビルの中にあります。
1階には花屋も入っていて、花の写真を見に行くのに先立ち、その店の前から8、9階に入っているギャラリーを見上げて写真を撮りました(右)。

東京・汐留にある会社の本社で仕事を終えたあとギャラリーに向かった私は、当初の予定よりも少し遅れて到着しましたが、おじゃまする旨を事前に伝えていた曽根さんは、受付で待ってくださっていました。
ポスターほどのサイズの大判のプリントも含めて60作品におよぶ写真展は見応えのある、すばらしいもので、見せていただいたあと、ギャラリーのスタッフにお願いして、曽根さんと記念撮影(中央)。

最初は背筋を伸ばして曽根さんの横に並んだのですが、チェックしていただいたところ「前は、腰をかがめて、身長を合わせてくれましたよね」と注文をつけていただき、撮り直しをお願いしました。

絵画のようにも見える曽根さんの作品は、プリントを手に入れて部屋に飾りたくなるものも多く、そのことをお伝えすると、販売のための注文用紙も見せていただきました。
プロの写真家さんですので、当たり前のことですが、お金を出してでも欲しいと思わせる写真を撮るということは、自らを振り返ってみると、なかなかできるように思えず、本当にすばらしいことです。

そんな作品が展示されている様子は、ご本人の前で撮るわけにいかず、もう1枚紹介する写真は、DM用のはがきを撮ったもので代えさせていただきました(左)。

さて、曽根さんの写真展は23日までですので、ぜひ、ご覧になっていただきたいのですが、私がすばらしいと思った感想などを少しばかり書き加えることにします。

日中シンクロという手法は私も良く使っていて、特に「走った!撮った!」の写真を撮る場合は、光線の状態を自ら選ぶことができないため、被写体になってくれる人の顔が陰になっていても、その表情が良く見えるように、また走っている人などの動きが確実に止められるように、ストロボをごく弱く当てることが、ほとんどです。

また花を撮る場合も、もろに逆光になっている場合、自然さを犠牲にしてでもストロボをたくことがあって、そんな写真で、たまたま空の調子が暗く落ちて、曽根さん風の画面になることがあり、なかなかドラマチックな絵だなと感じたことも何度となく、ありました。
しかし、それでも、そんな写真は不自然な感じがするというだけの理由で、あえて狙って撮ることはありませんでした。

それに対して曽根さんは、ドラマチックで美しいと感じた、この手法を1つのテーマとして、とことん突き詰められたわけです。その、こだわりがまず、すばらしいと思います。
おうかがいしたところ、今回の作品はすべて、ご自宅の近所を歩きまわって撮られたものですが、季節ごとに咲く、いろいろな花にめぐりあうために、1年がかりで撮りためられたそうです。

ストロボを当てられた花は、自然の光で見るときに比べて、その質感や色がシャープに写し止められます。
また、背景の空などは露出を切り詰めることで、雲の姿かたちなどが、より印象的になり、そうした夕方か夜のような暗い空の前で浮かび上がる花は、まるで舞台でスポットライトを浴びた役者のようでもあります。
そして写真展のサブタイトルにある通り、そうした演出を施された花は、なまめかしい魅力さえ感じさせます。

私も山などで花を撮るときは、自分の目や心にとまる花を、もっと言えば「撮ってほしい」と語りかけているような花を撮るようにしていますが、それでも、色あせていたり枯れていたりする花からは照準を外してしまうものです。
しかし、曽根さんの写真では、そうした花でもストロボを当てることで、美しさをとりもどす場合があることが分かり、それが背景の空などと、えも言えないマッチの仕方をして、一幅の絵のようになっています。
その絵のような画面から醸される情緒は、詩も書かれている曽根さんの詩人の心を映し出しているようでもあります。

まあ私の拙い言葉を、いくら尽くしても、実際の写真のすばらしさは、結局のところ描くことはできません。
1000分の1秒でも、2000分の1秒でもストロボを同調させることができるコンパクトカメラならではの仕組みを最大限に生かして、写真でしか表現できない世界をつくり出されている曽根さんの写真を見ると、写真という表現手段は、まだまだ捨てたものじゃなく、可能性があるのだということを、あらためて実感します。

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