FC2ブログ
“走るマラソンカメラマン”辰巳郁雄写真展 走った!撮った!世界のマラソン

最新トラックバック

カレンダー

04 | 2013/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

月別アーカイブ

FC2カウンター

全記事表示リンク

懐かしの芦生の森1

ゴールデンウイーク終盤の5日と6日に京都府北部の由良川源流地帯にある「芦生(あしう)の森」を訪ねた際に撮った写真を何回かにわたって掲載します。

京都府北東部の滋賀、福井との県境近くに広がる芦生の森は標高1000メートルに満たない低山地帯ですが、ブナ、ミズナラ、トチ、それに天然のスギなどによる大規模な原生林が残されています。
冷温帯と温帯という南北の植生が入り交じる植物相が豊かであるうえに、ツキノワグマをはじめとする動物も多様で、まさに生きものの宝庫ともいえる貴重な森です。

京都大学が地元から借り受けてきたため、一部で試験林が育成されるなどで人の手が加わっているものの、多くの部分が、ほぼ原始のままに近い自然林が保たれているこの森は、関西の山好きの間では以前から知る人ぞ知る存在でした。
そして子どものころから山歩きが好きだった私は、中学時代から大学時代にかけて、真冬をのぞくさまざまな季節に何度となく、この森に足を踏み入れてきましたが、今回は約30年ぶりの懐かしい山旅となりました。

BL130505芦生1-1P1010750  BL130505芦生1-2P1010759  BL130505芦生1-3P1010770

芦生の森は以前、京都大学農学部に所属する「芦生演習林」でしたが、現在は同じ京都大学でも「フィールド科学研究センター森林ステーション」の「芦生研究林」となっています。
外国の安い木材の輸入が増えて、国内の林業の採算が合わなくなるとともに、山村の過疎化や自然保護の気運が高まったことを受けて、芦生の森の活用方法も、林業の実習から研究や教育へとシフトしてきたことに伴う組織・管轄の改変がなされたようです。

そして芦生の森の入り口にある研究林の事務所からは、伐採や植林をしたり滋賀・福井との県境に近い奥まった地域へと移動するための林道が、延々と蛇行する由良川の本流を迂回する形で付けられているほか、本流沿いにも途中まで、かつて資材運搬などに使われたトロッコの軌道跡が残っています。
私は中学時代、このトロッコ道を終点まで歩き、さらに川沿いの山道をつたって滋賀・福井との県境地域を抜け、源流がスタートする分水嶺の峠である杉尾峠を越えて、谷沿いの道なき道を福井県側の集落まで行ったことがあります。ほぼ丸2日分ほどの行程でした。

しかし今や、一般の人が入林できるのは基本的に林道とトロッコ道のみとなっていて、今回も1日目の5日は、トロッコ道を往復する散歩にとどめました。
トロッコ道や林道に沿った森林は、これまでに何らかの人の手が加わった地域がほとんどで、芦生ならではの「千古斧鉞(ふえつ)の入らない」原生林は、基本的に立ち入り禁止になっているわけで、これには異議を唱えたい気持ちもありますが、のんびりと森を歩くのを目的にしていた今回は、それで良しと思いました。

さて、トロッコ道は枕木が残っていて歩くのに少しコツがいるものの、ほぼ平坦でヤブもないため、気楽な散歩にはうってつけです。
しかし30~40年前にはまだ線路として使用できたはずのトロッコ道も、所々で軌道が土に埋もれたり、路肩や谷川を渡る橋が崩れたりして、次第に荒れてきていることも分かりました(左、右)。
一般の立ち入りを制限して、トロッコ道がメーンの歩道になっているのですから、芦生の森の良さを少しでも多くの人に知ってもらうためには、最低限の整備はしてもらいたいものだと思います。

トロッコ道沿いで、かつて作業所のあった場所には建物の廃材が積まれ、そのそばにイチョウの巨木が生えていました。人里に植えられる木もまた、ここで人の暮らしが営まれていたことをしのばせます(中央)。
トロッコ道沿いには50年ほど前までは、炭焼きや、木製の椀や盆などをつくる「木地師」の仕事を営む人たちの集落もあったということで、芦生の森は原生林が主体とはいえ、かなりの部分は、そうした自然と共存しながら森を利用する人たちの生活の場でもあったわけです。

BL130505芦生1-4P1010753  BL130505芦生1-5P1010760  BL130505芦生1-6P1010768

芦生の森も若葉がどんどん伸びる季節で、早春の花はあまり見られなくなっていましたが、それでも春から初夏にかけての花は目を楽しませてくれました。

木漏れ日が当たるトロッコ道のわきにはスミレの花がまだ見られました(中央)。
尾根道などの岩場に咲くシャクナゲも、由良川の流れを背景にした川沿いのがけに咲いていました(左)。
私の背丈ほどの木に花を付けていたのは、オオカメノキ(ムシカリ)(右)。
葉の形が大きなカメに似ていることから名付けられたともいうオオカメノキはブナ林や、それよりも標高のある山に生える木ですが、ここではブナが多くなる森よりも少し低いところにありました。

トロッコ道沿いは、芦生の森のなかでもまだ序の口といいますか入り口部分なのですが、それでも太平洋側と日本海側の植物が入り交じった生態系の豊かさの「さわり」を感じとることができます。

スポンサーサイト