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“走るマラソンカメラマン”辰巳郁雄写真展 走った!撮った!世界のマラソン

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今の堤防、昔の城壁

韓国・全羅北道のクンサン(群山)セマングム国際マラソンに参加した旅行の際に撮った写真を、さらに掲載します。

マラソンを走り終えた後、大会の事務局長、ムン・ジョングの車でクンサン市から同じ道内のコチャン郡まで送ってもらった際に通った巨大開発プロジェクト「セマングム(新万金)」干拓事業の防潮堤と、コチャンの夜に一人で散策した15世紀の城壁「コチャンウプソン(邑城)」の内外で撮った計6枚です。

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セマングム干拓事業は、全羅北道が面する黄海の汽水域の約4万ヘクタールを、6年前に完成した全長33キロの防潮堤で囲って干拓し、農地や企業団地、リゾート地などを造成するという巨大開発プロジェクトで、対象となる海域は諫早湾干拓事業の10倍以上という、とてつもない広さです。
クンサンセマングム国際マラソンの大会名は当初、この防潮堤の完成を記念して、その上を往復するコースで行われたことに由来しています。

私は以前、コチャンを訪れた際に、セマングム防潮堤の南側の一部分だけを見学していましたが、その北から南までの全区間を通るのは今回が初めてでした。そして実際に通ってみて分かったのは、車で飛ばしてもなかなか通過できないほど延々と続く防潮堤の長大さであり、少しもやがかかっていたためもあったのでしょうが、防潮堤の中央部からは対岸の陸地が見えないほどの干拓する海域の想像を超える広大さでした。

以前の訪問の際に立ち寄った資料館の展示を見たときにも感じましたが、この巨大なプロジェクトを成し遂げることで開かれるという、ただ明るいばかりの未来を現実的に想像するのは、なかなか難しいものです。今世紀になって韓国でも日本でも、そして世界中でも認識されてきているのは、次から次へと開発を進めることができたり経済が右肩上がりに成長し続けたりすることは、あまり現実的ではないということだと思うからです。

セマングム干拓事業が完成すれば、韓国の国土は0.4%も増えるということですが、日本と同じく今後の人口増が望めないなかで、新しい農地を耕す人や企業団地に加わる企業が本当に集まるのかどうか想像もつきませんし、その反面、もう元には戻らないのでしょうが、事業によって予想される生態系の改変も、とんでもない規模になると思われます。
まあ、議論や批判ばかりして、なかなか前に進まない日本人とは対照的に、韓国の人たちは、こうと決めたら猪突猛進するパワーがありますので、セマングムの海もとりあえずは、見る見る干上がっていくのでしょうが、この巨大プロジェクトによって、韓国の人たちの生活がどれほど豊かになっていけるのかは未知数だと思います。

そういった点から、日本でこの事業に似ているように感じるのは、さしずめリニア新幹線の計画でしょうか。
今の新幹線でも2時間台、飛行機に乗れば1時間台で行き来できる東京と大阪の間を、さらに早く結ぶために、巨額の税金を投入する意味合いは、単純に多くの人の生活の便を良くするためというだけでは説明できるはずがありません。生活の便を良くするのなら、今の新幹線代や航空料金を、韓国や多くの外国並みに安くしてくれる方がずっと理にかなっていますし、同じ税金を投入するなら教育や福祉にもっと力を入れたり、広がるばかりの格差を是正するような施策を考えるべきです。
というふうに考えると、これもまた経済を活性化させるための開発のための開発の最たるものなのでしょう。

ちょっと生臭い話になって、脱線してしまいましたが、重機などない時代に石を積み上げてつくったコチャンウプソンも、当時としては空前の大規模事業だったものと思われます。
以前にも紹介していますが、この城壁は15世紀に倭寇を防ごうとして築かれたものとされ、自然の山を囲む格好で1周約1.5キロに及びます。

市街地に面し、コチャンのシンボルとなっている城壁は夜になるとライトアップされ、今回散歩に訪れた際には、まだ残っていた桜の花も一緒に照らされて、ちょっとした夜桜見物をすることもできました。
これも以前に書いていますが、この城壁の上部は歩くことができ、毎年10月には、城壁が築かれた往時をしのび、地元の女性たちが総出で、小石を頭に乗せたまま色とりどりの韓服(チマチョゴリ)姿で歩く「踏城(タプソン)ノリ(祭り)」が行われます。写真で写っている女性の銅像は、その様子を表したものです。
この城壁をめぐっては、その上を1周すれば「足が痛くなり」、2周すれば「長寿になり」、3周すれば「極楽浄土に行ける」という言い伝えもありますが、最初から少々脚が痛かった今回は閉門時間が近かったこともあって、ほんの4分の1周ほどしかできませんでした。

城壁の前を流れる川に架かった橋もライトアップされていて、宿泊先のホテルに戻る際に、その写真も1枚おさえました。
そしてホテルの手前にあったコンビニでビールを1缶ゲットし、2年ぶりのサブフォー達成の余韻に浸りながら、全身が疲れているのにもかかわらず寝るのがもったいないと思いつつ、1人で再び祝杯を挙げました。

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