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樹理ちゃん遺作上演

先月急逝した中学高校の同窓生で俳優の鶉野樹理ちゃんが劇作家・演出家として最期に手がけたお芝居を本日夕、同窓生仲間と一緒に観劇してきました。

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樹理ちゃんは所属する俳優座などの舞台で活躍してきましたが、在日韓国・朝鮮人1世の身の上を語る「身世打鈴(シンセタリョン)」など1人芝居を3000回以上演じられたお母さまの新屋英子さんが3年前に亡くなった後、お父さまで劇作家・演出家の鶉野明彦さんが英子さんと共に拠点とされながら活動停止となっていた劇団「野火の会」の「鶉劇場」を復活させるため、明彦さんに代わって作・演出に取り組まれました。
そしてその確か3作目となる今回の芝居を、英子さんの生誕91年を記念して上演するための準備が大詰めを迎えている矢先に急逝されました。

鶉劇場は大阪・富田林市の樹理ちゃんのご実家の1階に設けられた小劇場。野火の会は、そこを足場に地元で別の仕事をしながら演劇活動に励む役者さんらによる市民劇団です。
その劇団の核となっていた英子さんが亡くなり、明彦さんも意欲を失われてしたところに樹理ちゃんは東京から駆けつけ、ご両親の代わりに劇団を盛り上げてきていたというわけです。

その樹理ちゃんの作品は、精神的につらい時期を長く過ごしながら周囲の人たちに支えられて頑張ってきたご自身の体験を色濃く反映した内容で、役者さんたちは以前の作品ではシェアハウスの同居人、今回は家族を演じ、外から舞い込んでくる客演のヒロインに翻弄されながら、最後には一緒に絆を深めていくといったストーリーが持ち味でした。
役者さんたちは演技にアラも目立ちますがみな一所懸命で、そのパワーが演じる役をいきいきとさせ、小さな劇場であることも相まって小劇場ならではの舞台と客席が一体となった懐かしいような世界がつくり上げられます。

樹理ちゃんはそんな役者さんたちの個性を生かそうと役の設定や役作りに苦心した様子で、その気持ちを役者さんたちは受け止めながら熱演。またストーリーには、周囲の人たちと一緒に前向きに生きようという樹理ちゃんの心の底からのメッセージが直球のように込められていて、まさに彼女が生きて見守っているような感じがしました。
そりゃあ、これだけ全身全霊を傾けた芝居の完成間近に急逝してしまうというのは残念なことには違いありませんが、逆に言えば、これだけご自分の力を注ぎこんだ作品を残すことができたのは、なかなかできないことで、ある意味で幸せなことのようにさえ思えます。

上演間近に作者を失うという不運に見舞われながら、その遺志をきちんと受け止める形で芝居を完成させた劇団の皆さんの努力はすばらしいものです。また、あえて樹理ちゃんの急逝を公に伝えて「追悼公演」と銘打つことなく、一般の観客に対しては終演後の舞台あいさつで初めて経緯を説明するという方法が選ばれたのは、作品そのものを色眼鏡を掛けずに見てほしいと思ったであろう樹理ちゃんの気持ちをはかったものと思われ、それもまた粋な演出でした。

観劇後は同窓会の仲間と一緒に大阪・阿倍野に寄ってビールを飲みながら樹理ちゃんをしのびました。
入ったのはアジア料理の店で、私はカンボジアに赴任していたころ毎日のように飲んでいたアンコールビールやタイのビアシンことシンハー、それにシンガポールのタイガーを次々に懐かしくいただきました。
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